今月のお題『誰ガタメノ剣〜市場法子伝〜』

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今月のお題は
『誰ガタメノ剣〜市場法子伝〜』
 
 
わたしの名前を当て嵌めるとなんだか恥ずかしいタイトルだなぁ
 
 
 
2008年の初演では、英之助(安芸国虎の家臣の娘・お英)を演じきれなくて、稽古中も、本番も、本番が終わってからもずっと苦しかった。
他人を演じるってなんなんだろう。
人を楽しませるってどうしたらいいんだろう。
お芝居やめたほうがいいんじゃないか。
悶々悶々…。
別の作品で別の役を演じていても、頭の片隅にずっといた役。
だから、ある意味わたしは3年半、英之助の役作りをずっと続けていたし、今まで演じたいろんな役と一緒に、英之助としても舞台に立ち続けていた。
 
 
昨年の再演では、その英之助のパートナーである土佐のイケイケ女・ふじを演じる機会に恵まれて、一番近いところから役を見た。より視界がクリアになったのを感じた。
英之助を演じる役者さんには絶対楽しんでもらいたい!ひたすら引き立てる!!ってことに命を注いだ。
どちらかが頑張っても、二人が楽しくなきゃ、やっぱり楽しくないんだ。
これって当たり前のことだけど、本当に大事なことで、わたしが演じる上での核だって思った。
ふじとして駆け抜けた再演は、わたしにとって大きな財産になった。
 
 
今回、高知・東京公演では、きっとまた英之助を演じることになる…。
そんな予感は的中し、見事わたしに配役された。
今までの集大成を見せるとき。
 
 
なんだかんだでさっきの核がやっぱりキーポイントだったのだ。
稽古中は、ああやってみたい、こうやってみたい、というイメージがわいても、相手と噛み合わない間は楽しくなくて、わたしと、ふじを演じたもくはずいぶん苦戦した。
みんなが楽しそうに演じているのを横目に、二人でひたすら自主稽古したときもあった。
良い意味でも、悪い意味でも、苦い初演が甦る。
 
 
最終稽古でも、これだ!ってものを得られずに高知入り。
怖くないと言えば嘘になる。けれど、誰に何を言われようが、わたしたちは二人で一人。
楽しいことは二倍わかちあって、しんどいことは半分こしよう!
怖いよりもわくわくが勝っていた。
 
 
英之助、そしてふじ、わたしを強くしてくれて、ありがとう。